読んだ本3月前半

◆女ふたり、暮らしています。 / キム・ハナ、ファン・ソヌ

CCCメディアハウス
発売日 : 2021-02-26

ポッドキャストの司会として人気のコピーライター、キム・ハナとファッション誌『W Korea』の編集長 を長く務めたファン・ソヌによる女ふたりの共同生活記。
ふたりの関係は単なるルームメイトでも、 恋人同士でもない。長い間、一人暮らしを続ける中で楽しさや喜びよりも孤独や不安を強く感じは じめたふたりは、尊敬できて信頼できて、気の合う相手をこれからの人生の「パートナー」として選 び、マンションを共同購入する。
家父長制の下で我慢を強いられる結婚はまっぴらごめんだった。 「結婚=幸せ」という限定的な考え方から解放された現代女性たちに贈る、新しい生き方の提案。

いくらなんでもこれになりたすぎるだろと思ったし、優秀でも裕福でもないわたしは、たとえ友達に恵まれたとしてもこれになれるかはあやしいよなとも思った。
10年ローンを組んでマンションを買って、1年で半分返してしまうって、このふたりがとても裕福なのか、韓国のマンションが日本よりもかなり安いか、両方か、どっちなんだろう。東京だと35年ローンとか当たり前な印象だけれど……。
友達同士の同居だけでなく、恋人や夫婦の同居でも、大事なことは変わらないと思う。逃げずに喧嘩をすること、喧嘩したときに大事なのは、弁明することではなく、相手に寄り添って考えること。
うまくいく関係にいちばん大切なことは、相手を人として尊敬することだと思う。このふたりは、お互い尊敬して尊重して、本当にうらやましい。

 

 

◆消滅世界 / 村田沙耶香

発売日 : 2015-12-16

セックスではなく人工授精で、子どもを産むことが定着した世界。そこでは、夫婦間の性行為は「近親相姦」とタブー視され、「両親が愛し合った末」に生まれた雨音は、母親に嫌悪を抱いていた。清潔な結婚生活を送り、夫以外のヒトやキャラクターと恋愛を重ねる雨音。だがその“正常”な日々は、夫と移住した実験都市・楽園で一変する…日本の未来を予言する傑作長篇。

これは……。村田沙耶香3冊目だけれど読むたびに過激になっている。これがクレイジーの最高レベルなんだろうと思ったけど、わたしが性の話を理解できないので、性がテーマというだけでクレイジーレベルを勝手に上げているだけかもしれない。
キャラクターに恋をして、人間との恋愛は廃れていく、というのは、現代でもそうかもしれない。現代では性愛や恋ではなく推しという形ではあるけれど、似たようなものだと思う。
SNSなどでよく「核家族での子育てには限界がある、もっと地域で子育てに協力していくべき」みたいな意見があるが、その考えが行きつくところは「楽園」のようなディストピアなのかもしれない。
倫理観の欠けたありえない世界なのに、そこにはなぜか合理的さと納得があって、気持ち悪いのにするする読んでしまう。全員がひとり暮らしをする世界には確かに行きたい。「楽園」は、ひとりの生活だし、決してひとりぼっちではない。

 

 

◆わたしたちが光の速さで進めないなら / キム・チョヨプ

発売日 : 2020-12-03

廃止予定の宇宙停留所には家族の住む星へ帰るため長年出航を待ち続ける老婆がいた……冷凍睡眠による別れを描き韓国科学文学賞佳作を受賞した表題作、同賞中短編大賞受賞の「館内紛失」など、疎外されるマイノリティに寄り添った女性視点の心温まるSF7篇!

表紙とタイトルがとてもいい。本屋で見てこれは!と思ったけれど、表紙とタイトルが好みすぎてハードルが上がりすぎたかもしれない。おそらくいかにも翻訳って文章があんまり好きではなくて、のめり込めない。内容を頭でなぞっている感じ。雰囲気は好きだと思うんだけど……。
スペクトラムが一番好きだった。読後感は全体的に良い。

 

 

◆サンショウウオの四十九日 / 朝比奈秋

著者 : 朝比奈秋
新潮社
発売日 : 2024-07-12

同じ身体を生きる姉妹、その驚きに満ちた普通の人生を描く、芥川賞候補作。周りからは一人に見える。でも私のすぐ隣にいるのは別のわたし。不思議なことはなにもない。けれど姉妹は考える、隣のあなたは誰なのか? そして今これを考えているのは誰なのか――三島賞受賞作『植物少女』の衝撃再び。最も注目される作家が医師としての経験と驚異の想像力で人生の普遍を描く、世界が初めて出会う物語。

現実の、生まれつき特異な境遇の人の話はかなり興味があって、たまに調べたりするけれど、大抵はインパクトのあるキャッチーな部分のことしか書かれていない。でも変わった持病や境遇の人だって、瞬と杏のように普通の生活を送っている一面もあるんだろう。死んだあとにどうなるかとか、瞬と杏の特殊な境遇じゃなくても、誰にもわからない。みんなおんなじだ。
最後の、記憶と夢が混ざったような藻のシーン、芥川賞ってみんなこうなの??限りなく透明に近いブルーのラストに思ったことと似ている。こっちのほうがまだわかりやすいけれど。きっとわたしに芸術的表現とか純文学は向いていなくて、でもあこがれるんだよな、純文学。